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風に誘われて、街へ(9) ひらパー、は面白い、でおま!

2018.12.28

さすがに12月も半ばとなると吹く風も冷たく、「やっぱり冬は来るんやなぁ」と納得しながら町を歩いていますと、大阪の市内には至るところに「祝!2025大阪万博」の文字。
そんな時、ふと思い出したのです。そう言えば、あの「ひらパー」が何でも、万博を先取りして「枚方万博」をやっているらしい、と。
そんな訳で、初冬の遊園地「ひらかたパーク」のナイトタイムに行ってみました。

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「京阪乗る人、おけいはん」

大阪に住んではや40年なのですが、関西人の「ことば」感覚には今でも感心しています。
「京阪乗る人、おけいはん」なんか最高に面白いですよね。
これは、私たちが何の意識もしないで使っている「ことば」の基本が「オト」である、ということを関西人がとても良くわかっている証拠です。

さて、その京阪電車に乗って、淀屋橋から30分で枚方公園駅です。
電車を降りて、駅の構内を歩き始めると「ひらパー」の案内ポスターがあり、なんとその上の看板に「ひらパーまで、あと485歩」の表示!

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思わず、「えーっ、ホンマぁ、誰が計ったんや」と突っ込んでしまいました。
既に、ここからオモロイ、やないの。

駅前の商店街を少し歩くと「ひらパー」です。
本当に485歩で着くかどうかは、数えるのを忘れてました。

遊園地と言えば、ちかごろではもっぱら「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」なんでしょうが、この年になると、若者たちの弾けるような歓声が飛び交う空間よりも、少しくらい静かな空間の方が落ち着いて楽しめます。

なかなか素敵な光のショー

園内に入ると、ちょうど正面のストリートで、クリスマスツリー様の「時計の塔」がイルミネーションに包まれて、ファンタジーな音と光のショータイムが始まりました。

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いやぁ、なかなかのもんです。美しい!です。
女子高生たちも結構いて、みんなスマホで写しています。

左手の丘の方へ行くと、そこは「ランタンカーニバル広場」これも綺麗!
広場の真ん中に立つと、周囲360度のぐるりが一斉に金色の光。流れてくる音楽に包まれて、身体がフワーッと浮き上がるような酩酊感がありました。

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そして、丘の上まで歩いて行くと、アーチ状の入り口に青い光のトンネルがずっと続いています。
「タイムトラベルトンネル」と名付けられた光のトンネルなのですが、途中で振り返ると、今度は全面が黄色。「ほぉーッ」と感嘆、かなりファンタジック。

出ました、これぞ「ひらパー」!の魅力

さてさて、「枚方万博」なる出し物はどこにあるのかな、と園内を歩いてると、ありました。
間口3メートルほどの東屋風の建物に、『世界の神秘・ミイラ展』の看板。
ツタンカーメンの至宝か、はたまた、唐の玄宗皇帝の骸か、いったい何が展示されてるの
か、と近づいてよく見ると、そこには「フリーズドライのネギ」に「ビーフジャーキー」に「干しエビ」に「するめの干物」!

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なるほど、これらは確かに「ミイラ」には違いない。
いったい誰が考えたんや、この展示!
突っ込んで笑わなしゃぁない。
東京人なら怒るやろけど、関西人は怒りまへんでぇ。
さすが大阪、さすが「ひらパー」、見事な一本です。

そして、もう一つ見つけました。「分別しまくりゴミ箱」
「もえるゴミ」に「ややもえるゴミ」、「やけにもえるゴミ」、「やたらもえるゴミ」、「ある意味もえるゴミ」、「そこはかとなくもえるゴミ」。
よう、こないにしょうもない区分を考えるわ。考えついた人、偉いわ。

帰りがけに、改めて「スーパー園長・岡田准一兄さん」の歴代ポスターを見ました。

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【「エヴェレスト」に対して「ええベスト」 「神々の山嶺」に対して「中々の温もり」】

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【関ヶ原から徒歩23時間】

いずれも素晴らしい発想と言語感覚です。
かの糸井重里をも「まいった」と言わせるほどの、優れたコピーライトです。
この感覚があるかぎり、たとえ日本が滅んでも、大阪は決して滅ばない、と思います。
「ひらパー」は、単なる遊園地ではなく、自分が大阪人であることを再認識するための空間なのではないでしょうか。

「ひらパー」は、やっぱりオモロイとこ、でおま!

この冬の女の子ファッション

ところで、行きの電車でもそうでしたが、帰りの電車でも、女子高生や若い女の子を見ていると、なんだか首の周りにふわふわ、モコモコした物を巻いている人が多いですよね。
あれ、とっても可愛い、と思うのです。

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私たちオッチャンは、冬の首巻きと言えばマフラーと狐の襟巻きしか知らないのですが、今年は特に若い女性のふわふわファッションが目に付くような気がします。

「あれは、いったい何なのだろう」と不思議に思った私は、先日、知り合いのファッションデザイナーに尋ねてみたのです。
その知人は、坂口健二郎さんと言い、武庫川女子大学で准教授をしている人。

で、わかったこと。
「あれは『スヌード』と言う物です。
欧米発信のデザイナーが作りだしたトレンドではなく、日本固有の若者ファッションのトレンドと考えられます。

14-15年前から、マフラーを巾折りせずに高く巻くテクニックが流行ってきた。
それは、ダウンジャケットなどが外出着となり、活動的でスポーティなスタイルには襟が高いシルエットの方が似合うから。
そしてマフラーよりも、リブ編みのスヌードなどが重宝されるようになってきたのではないでしょうか。
頭からかぶって、首から両肩や胸前までを包むようにします。
そうすると、暖かいのはもちろんですが、肩幅が狭く見えてモコモコの中に顔があるので『小顔効果』が生まれるんです。
そこが魅力で、若い女の子たちに人気が出てきたみたい、です」って。

なるほど、ね。

だからでしょうか、マフラーを巻くにしても最近の若い女の子は、幅を二つ折りにしないで広げたまま首に巻いて、顎までを隠すようにふわふわっと巻いてますもんね。
ちなみに、昔の狐の襟巻きみたいで幅の広いモコモコ布を胸前で留める物は『ティペット』と言うのだそうです。

いやぁ、勉強になりました。

中之島公会堂の夜景

淀屋橋駅で降りて地上に出たら、そこは中之島です。
ちょうど、「OSAKA光のルネサンス」なる夜のイベントをやっていました。


【All I Want For Christmas Is You (SuperFestive!) (Shazam Version)】

おしゃれなクリスマス・ソングの流れる中を、ゆっくり歩いて中之島公会堂の正面へ。

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まぁ、これは何と言う美しさ、素晴らしさ!

「百年の輝き」と題したプロジェクションマップが、夜の闇の中に公会堂を色鮮やかに浮かび上がらせます。
屋台のピザを食べながら見ていた、アジア人らしき男女カップルに、「どこから来たの?」と聞いたら、「ベトナム、から、です」と。
「どう、大阪は面白い?」と聞いたら、
「オオサカ、きれい、おもしろい、たべもの、おいしい、です」と。

「2025大阪万博」は、実はもうすでに始まっているのではないでしょうか。
それは、舞州に出来る立派な施設の完成から始まるのではなく、今日や明日に大阪に来てくれている外国人観光客を、気楽にもてなす「大阪人の心」から始まるのだ、と思います。

そして、その際にもっとも大切なのは、けっして流暢な英会話や中国語の会話力などではなく、
「どうや、大阪おもろいか?」
「美味いやろ、またおいでや」
のように、ふだんどおりの「生活ことば」で気楽に話かける大阪人の「暮らしの心」なのではないか、と私は思うのです。

それはちょうど、「ひらかたパーク」に展開されていたもの、
「ここがひらパーで、おま」の精神であり、
「どないだ、ちょっと笑うやろ」と言った、関西の庶民の生活精神なのだ、と思うのです。
どんな豪華で立派な建造物よりも、その街で暮らしている人間こそが、最大の魅力です。

やはり、「ひらパー」の枚方万博は、「ことばと暮らし」の、深い深いところで「2025大阪万博」を先取りしていたのだ、と改めて気がつきました。

「ひらパー、は面白い、でおま」
そして、「大阪は、めっちゃオモロイ人間がようけ居る、素敵な街ですわ」!

【おまけ】

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「ことばと暮らし」について書いた、私の本が今日(12月28日)付けで発売になります。
『ことばの「なまり」が強みになる!』(自由国民社)1400円(税別)、です。
気楽にしゃべれば、仕事も人生もうまくいく、という内容の本です。
お正月休みにでも、ぜひ読んでみてください。

吉村 誠(よしむら・まこと)1950年山口県生まれ。東京大学文学部社会学科卒。朝日放送テレビプロデューサーとして多くのテレビ番組や映画製作を担当。宝塚造形芸術大学教授を経て、現在は同志社女子大学・関西看護医療大学で非常勤講師を勤めている。おもな担当番組に「M-1グランプリ」、「晴れ時々たかじん」、「ワイドABCDE~す」、プロデュース映画に「血と骨」(監督:崔 洋一)、「秋深き」(監督:池田敏春)、著書に『お笑い芸人の言語学』(ナカニシヤ出版)。

2018.12.28

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