経営Management

経営教育 / 大阪

【コラム】大阪、神戸、そして東北へ/震災の記憶を次代につなぐ/安藤忠雄氏の図書館寄贈

2019.11.19

建築家の安藤忠雄氏が自費で建築し、地元の自治体に寄贈する子ども向け図書館の整備が、2020年3月に開館する大阪・中之島に続き、神戸でも動き始めた。大阪と神戸はほぼ同じ規模で、コンクリート打ち放しの曲線屋根が目を引くデザインも共通。安藤氏は岩手県遠野エリアでも古民家を改修し、大阪や神戸と同様に子ども向けの図書館を整備する構想を温めており、実現すれば『図書館3部作』として後世に語り継がれる存在になりそうだ。

【20年3月の開館に向けて完成間近のこども本の森 中之島】

こども本の森 中之島1

先行して20年3月1日に中之島公園(大阪市北区)内に開館するのが、「こども本の森 中之島」。RC造3階建て延べ約800平方㍍の建物はすでに完成間際で、工事は内装や外構などの最終段階に入っている。建築主と設計者は安藤忠雄建築研究所(大阪市北区)で、施工は竹中工務店大阪本店(大阪市中央区)が担当している。

建物の完成後は大阪市に寄贈し、運営費は予約分も含めて集まった8億円近くの寄付金を充てる。名誉館長は京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長が就き、指定管理者として図書館流通センター(TRC、東京都文京区)などのグループが運営する。

【現在は内装や外構などの工事を進めている】

IMG_1727

蔵書数は約2万冊でスタートする予定で、施設の対象者は乳幼児から中学生と、その同伴者。入館は無料。本の貸し出しは行わない。建設地は、大阪市北区中之島1丁目。大阪市立東洋陶磁美術館の東側に位置し、堂島川に面して建つ。

【堂島川側から望む】

こども本の森 中之島

難波橋から中央公会堂前交差点までの約200㍍の国道(中之島通)は閉鎖される予定で、「こども本の森 中之島」や「大阪市立東洋陶磁美術館」、土佐堀川沿いの飲食店などが一体的なエリアとしてつながる。館外でもイベントを積極的に企画し、中之島公園の魅力を高める。

【神戸の(仮称)こどものための図書館の完成イメージ】

無題

神戸市中央区に建設する「(仮称)こどものための図書館」は、9月に安藤氏が神戸市に寄贈を申し出たことから動き始めた。建物の規模はRC造3階建て延べ約750㍍で、建設地は神戸市中央区加納町6丁目の東遊園内(南エリア)。移設されたこうべ花時計のそばに弧を描くように建築する。

【神戸の図書館は東遊園内に建設する】

 

IMG_1671

建物は安藤氏が建築して神戸市に寄贈し、運営は神戸市が担当する。整備に向けて「市議会に負担付きの寄附について20年2月に諮る予定」(神戸市企画調整局産学連携ラボ)だ。「運営の組織体制や蔵書数、スケジュールなどは未定」(同)という。

岩手・遠野に第3の子ども向け図書館を建設する構想は、安藤氏が8月に遠野市で講演した時に明かした。大阪や神戸とは異なり、古民家を改修して図書館として再生したい考えだ。

大阪出身の安藤氏が地元である大阪のほか、神戸、そして遠く離れた東北に図書館を建てるのは、1995年の阪神・淡路大震災と、2011年の東日本大震災が背景にありそうだ。「慰霊と復興のモニュメント」の近くに建てる神戸の「こどものための図書館」の提案書で、安藤氏はこう記している。「あの災害の記憶を風化させず、次代の子どもたちに伝えていくためにも、新しい図書館を役立てて頂ければと思います」

2019.11.19

建設ニュースおすすめ情報

1週間の動きを短時間で振り返る!

無料メールマガジン登録

メールマガジン登録

サイトで配信した記事のタイトル(見出し)を、分野別とエリア別に分けて1週間分まとめて確認できる便利なメルマガです。PC/携帯に対応!

登録してみる

月2,000円(税別)で、一歩進んだ情報を

建築ニュース有料会員

建築ニュース有料会員

不動産や民間工事の最新情報など、毎日配信される建設ニュースの全記事を、月2,000円(税別)でお読みいただけます

有料会員に申し込む