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【インタビュー】アーティスト支援と街の活性化を両立/道頓堀に続き、来春から神戸で新プロジェクト/180(ワンエイティー)・上仲昌吾代表

2019.12.20

壁のシェアリングエコノミー(ウォールシェア)事業を手がけるスタートアップの180(ワンエイティー)(神戸市北区)――。街の壁にペンキやスプレーで絵や文字を描く“ストリートアート”と呼ばれる分野を専門とし、アーティスト、壁の提供者、広告スポンサーの3者をつなぐビジネスモデルの構築を模索している。南海電気鉄道(大阪市中央区)と連携し、大阪・道頓堀での初弾に続き、神戸でも解体予定の庁舎壁面をアートで彩る計画が進む。事業を通じてアーティストの支援と街の活性化を目指す180の上仲昌吾代表に、新ビジネスの展望や課題を聞いた。

180上仲昌吾代表

2018年8月に会社を設立、18年12月からサービスを開始し、ちょうど1年が経った。「この1年は、驚くほど多くの人と出会えた」と笑顔を見せる。

事業は、広告主の依頼を受けてアーティストが描く『広告アート』と、アーティストが自由に描く『自由アート』の両輪で展開する。収益源として力を入れているのが広告アートで、アーティスト、カンバスにあたる壁の提供者、広告を出稿するスポンサーを同社がマッチングする。「スポンサーからの広告料で、アーティストに作品料、壁の提供者に賃料を払い、残ったお金が180の収益となる」仕組み。

【ストリートアートが道頓堀川遊歩道に彩を添える】

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初弾となった道頓堀川遊歩道『とんぼりリバーウォーク』は、遊歩道を管理・運営する「南海電気鉄道が東西方向の回遊が少ない課題を解決する方法の一つとして、アートの力に注目して連携が実現した」。7月から展示を開始、作品数も当初の10作品から現在は17作品に増え、多くの人が足を止める人気スポットとして定着しつつある。

20年春からは、神戸で新たなプロジェクトが始動する。神戸市企画調整局つなぐ課特命課長の秋田大介氏が代表を務め、180などが参画する「神戸ミューラルアート・プロジェクト」実行委員会が発足、神戸市内を中心にミューラルアート(壁画)を増やすプロジェクトを企画する。「アーティストを呼び込み、彼らが暮らせるような街づくりを目指す方向性に共感し、有志が集った」。上仲代表も神戸出身だけに、地元貢献としても力が入る。

【本庁舎2号館の壁面に壁画を描く(ミューラルアートイメージ)】

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そのプロジェクトの第1弾として、来秋に解体工事が始まる『神戸市本庁舎2号館』の南北の壁面などに壁画を描き、60年以上にわたって市民に親しまれてきた庁舎の最後を華やかに見送る。アーティストへの謝礼や、壁画を描くために必要なクレーン代などの資金を調達するため、「クラウドファンディングも組み合わせることを考えている」と話す。1月にアーティストを選び、来春にミューラルアートを描く。

事業開始から1年を振り返り、「課題が明確になってきた」と打ち明ける。唯一の収益源ともいえるスポンサーからの広告費を獲得するため、日々奮闘しているが、「面白いと関心を持ってくれる企業が多い一方、新しい媒体だけに効果測定が見えにくいとの指摘も少なくない」。インスタグラムのハッシュタグ数や、交通量などから効果の数値化に取り組んでいるが、並行して次の展開の準備も進めている。

EC(電子商取引)の普及で、店舗で商品を見てネットで買うと言われて久しいが、「その反対の動きも増えている」ことに商機を見出す。思い描くビジネスモデルは「ネットで商品を知り、現地に行き、そこでスマートフォンからQRコードを読み取り、限定の商品を買う」といったイメージ。この仕組みができれば、「広告スポンサー側が求める効果の数値化が明確になる」とともに、商品の販売量に応じて広告料が決まる従量制への道も開ける。

実績ができたことから、これからは多様な空間への進出も視野に入れている。たとえば、建設現場の仮囲い。「仮囲いは地域住民に喜んでもらえるようなアートを提供できる空間になりえる」と期待する。

展開するエリア面では「当面は関西に集中する」考えだ。「大阪の道頓堀、そして神戸の三宮と関西を代表する立地で、幸いにも勝負させてもらっている。これだけの機会をいただいて言い訳はできない。どこでも通用するビジネスモデルを確立したい」と前を見据える。

(うえなか・しょうご)近畿大学を卒業後、米国に留学、インターンシップ経験も含めて米国で4年間を過ごす。帰国後、2018年8月に180を設立、18年12月にサービスをリリース。神戸市北区出身、29歳。

2019.12.20

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